古川から石巻へ行くとき、国道108号線を通る。快適なドライブルートだ。
しかし、石巻市に入り、前谷地付近にさしかかると、さやキジは気になって仕方ないことがあるんだ。
この周辺の人は、どこで飲むんだろう…?
見渡す限り、飲み屋さんらしきお店が見当たらない…。
あるのは個人で経営してるっぽいファミレスと焼肉やさん。ただ、食事を提供するお店だから、遅い時間まではやっていないだろう。
飲む場所がない
平気な人もいるとは思うけど、さやキジのような酒飲みにとっては死活問題‼
この周辺の方々は飲む場所がないという不満を呑んでいるのではないか…?
心優しいさやキジは本気で心配し「ステキな飲み屋さんができますように」と、日々祈っていたんだ(ホントかよ?)
するとそこに現れたのが
やきとり酒場【鳥心】さん
うぉぉぉぉ‼祈りが通じた⁈
発見したのは何気なく見ていた知人のインスタ投稿。
どんなお店?どんな人が始めたの?気になるーー‼
もう居ても立ってもいられず、突撃してしまいましたよ。
コワモテ店主?
ガラガラガラ。扉を開けると出迎えてくれたのは
今回、顔出しナシの為、イメージ画像でお伝えします。
店主の【堀江 公さん】
ボクシンググローブは持っていませんが、パッと見の印象はひとことで『強そう』
スキンヘッド、日焼けした素肌にランニング姿、ムキっとしたイカリ肩。
先に注意しておきましょう。『どちらの組の方ですか?』なんて訊いちゃいけません。
店主は善良な一般ピープル。どこの組にも所属してはいない。
そして、この店主が心優しい人だということは、入店して10秒も経てば分かる。
さやかサン、こちらの席へどうぞ
なんと、『はじめまして』なのに、私の名前をちゃんと知っている‼インスタDMで取材交渉したときに覚えてくれていたんだ。
さやかサン、少々お待ちくださいね
【名前を呼ぶ】相手の心を掴むのに大切なことのひとつだ。コワモテで一瞬ビビった心がスッと解れる。
この店主、ただ者じゃないな…
いや、この店主なんて呼んじゃいけない。さやキジも見習って『公さん』と呼ばねば。
名前を覚えて呼ぶだけじゃない。声が優しい、瞳の奥にある光が優しい。
『怖っ‼ あれっ⁈ 優しー♪』
入店してから10秒間の心の変化が忙しいが、読者の皆さんにもこのジェットコースターのような心の激動を体験してほしい。
ただし、酒癖やお行儀の悪いお客さんには怖いままのようだ。
値段が優しすぎやしないか?
心の揺れはさらに訪れる。
安すぎやしないか?
利益は出るのか?さやキジも商売人、利益率は大いなる関心ごと。
しかも、あちこちで飲んでいるから分かる。他のお店の価格帯も。
安すぎってよく言われます
そりゃそうだろう。ドリンクも安い。
ちなみにここは公さん1人で運営している。店内は半セルフ状態。
まず、おしぼりは各自、金庫の中から取り出す。
ドリンクは、缶のままで提供される。お客さんは缶のまま飲む。
氷の用意やグラスに注ぐというサービスを省いた分の低価格。手間と意識と愛情は焼き鳥を焼くところに傾けられる。
システムを理解したところで、さやキジもドリンクをオーダー。
この日は車だったので、ノンアルビール。
プシュっと缶を開けて、そのままグビグビも乙だねぇ。
さらに、店内の座席がなんとも言えず缶飲みスタイルに合うんだぁ。
店内は4人がけのテーブル2席、カウンター3席
ケーブルドラムのテーブル&ビールケースに座布団を置いた椅子。
いいねぇいいねぇ。こういう大衆的なカンジ、さやキジはめちゃ好きだ。
肩肘張らずに飲める雰囲気、そしてリーズナブルなお値段。サイコー♪
鳥心の真心
さやキジは取材で平日にお邪魔したのだが、この日に来店していたのは
・2組のご夫婦(4名)
・カウンターにおじさん(1名)
・仕事帰りの男性(2名)
この人数でほぼ満員状態。いい意味で狭い店内はお互いの顔が見えるし声も聞こえる。
そうなると、別で来ている知らないお客さんとも気軽に会話できちゃうの。
さやキジはこの日、1人で行ったにも関わらず、店内に居たお客さん全員と会話した。会話できた。
さやキジが図々しいんじゃない。気さくで親切なお客さんばっかりだったのと、店内のあったかい雰囲気がそうさせる。
私以外の他のお客さん同士も、はじめましてなのに親しくお喋りしちゃってるんだ。
この空気感がいい。楽しい。
ノンアルなのに酔いそうだ。
焼き鳥に専念しつつも、このあったかい空気感を醸し出す公さん。店主の人柄と真心が、居心地のいい店内空間を創りだしている。ステキだ。
鳥心の親心
『公さん、公さん』とお客さんから親しげに呼ばれる店主。この日のお客さんは、子どもを介した親同士の繋がりで来ていたそうだ。
公さんは4児のお父さん。小学校4年生から年中組までの子どもがいるそうで、学校、園の行事やPTA活動にもよく参加しているようだ。
そういった場では『〇〇ちゃんママ』、『△△くんパパ』と子どもの名前にパパママをつけて呼び合うことが多いが、ここでは名前で呼び合っている。
『誰々ちゃんの親』としてではなく、1人の人同士として親しい関係性が出来上がっているんだろう。
こうして、親しくなった【親友達】が公さんにはたくさんいる。その親友達が常連さんになっているようだ。
『親しまれスキル』が凄すぎる
子どもを介した出会いから、仲良くなった人たちに、心地よい空間を提供する。
それは単に飲み食いする場所なだけじゃなく、心の置き場所となっている。
鳥心は、あったかい親心の交流地点なんだ。
個性的な外観。国道108号線からよく見える。
さらにお客さんは言う
この辺、飲むところなくてさー
やっぱりそうだよねー
みんな近くに飲む場所が欲しいと願っていたんだな。
みんなの願いを叶えた公さんは凄いや。
鳥心の誕生は、地域の人々の願いが形になったものなんだ。
その扉を開けてみよう(店舗情報)
店主の人柄と、お店の成り立ちと、お客さんがステキすぎて、紹介がすっかり遅くなってしまった。
焼き鳥を紹介しよう。
味付けはタレ(上)か塩(下)を選ぶ
串打ち、焼き方、独自で習得しました
どこかで修行したとかじゃない。それでいて、このクォリティは凄い‼
2024年8月20日にオープンしたばかりなのに、既に常連さんがいるだけでなく、テイクアウトの注文もたくさん受けている。
取材に伺った日も、昼間に100本のオーダー対応で忙しかったそうだ。
もう、行ってみたい、食べてみたいと思っている読者さんに、店舗の詳細をお知らせします。
飲む人は電車でも行ける。前谷地駅から徒歩7分。ただし、最終電車の時刻が早いので、しっかりと確認を。
場所:石巻市前谷地沼下45-1
営業時間:17:00~22:00
ラストオーダー21:30
定休日:不定休
電話:080-3145-3465
不定休、営業時間も上記の限りではない場合もある。なんせ4児の父だ。子どもの行事やら都合やら。行く前には電話で確認をオススメする。
トイレと喫煙スペースは外にある
アツアツ、ジューシーな焼き鳥を頬張り、缶ビールをグビグビ。なんてシアワセなんだ。
そして、コワモテ店主の醸し出すあったか空間のギャップもいいお味。
真心に親心。いろんな『心』に触れることができるお店【鳥心】
さあ、心のままに、その扉を開けてみよう。